熊とワルツを
- 作者: トム・デマルコ,ティモシー・リスター,伊豆原弓
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2003/12/23
- メディア: 単行本
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日本では、単にリスク管理はリスクを避ける方法として理解されている。本書では、リスク管理は「おとなのプロジェクト管理」として規定し、「リスクを管理していない業界は子供のようなもの」とさえ言う。その意味では、日本の業界はまだひよっ子だ。
「リスク管理は人材の成長機会を高める」
「過った決定でプロジェクトが混乱しても、その人を最後まで外さない」
リスクのないプロジェクトには手をつけるな
「リスク」とはまだ起きていない問題であり、「問題」とはすでに実現したリスクである
リスク管理は、問題が発生する前の、抽象的な概念の段階で対策を考えるプロセスである。リスク管理の反対を「危機管理」と言い、問題が発生した後に何をするべきかを考えることを意味する。
プロジェクトが進んでからリスクの不意打ちを食らわないためには、マイナス思考しかないとわかっている。
心配すべきことは、ひとつのコンポーネントの失敗が全体を危機におとしいれないようにすることだ。
リスクを管理しない企業はリスクを回避するようになるため、リスクをほとんどとらず、特に大きなリスクはすべて拒絶するようになる。そのため、新しい領域には気まぐれに手を出すだけか、全く足を踏み入れない。
最悪の組織は、魅力のない結果ではなく、魅力のない予測を罰する。
不確定性を口に出すことを許さない企業文化の中では、リスク管理はできない。
思いつく限りの破滅的な結果を並べるのだ。もっと破滅的なことはないかとグループにたずねる。
負けた時に最も痛手を受けたものが本当の負けである
不確定幅を明示した約束をあらゆる階層の管理者が受け入れるかどうかで、その組織が大人かどうかがわかる。
プロジェクトがスケジュールから遅れた時、計画した作業に思いもよらない時間がかかったから、という場合は少ない。それよりはるかに多いのは、計画になかった作業のために、プロジェクトが進まなくなったという場合である。
やらなければ「ならないかもしれない」作業は正しく予想できない。
過去数年のプロジェクトで遭遇した問題を上位20件ほどリストにすると、次のプロジェクトで使うリスク・リストのたたき台としてちょうど良い。
リスクが厄介なものであるほど、それを消せという圧力は大きくなる
リスクについてできることは、次の四つである。
「避ける」「抑制する」「軽減する」「かわす」
リスクの「抑制」とは、リスクが実現した場合にかけなければならない時間と資金を準備しておくことである
プロジェクトをやめることができるのは、プロジェクトを始めた人間だ
リスク管理計画を提出するときに、幾つかのリスクの管理を、正式に上の階層の人間に託すのである
プロジェクトの納期と目標を別々に設定する
いい加減なスケジュールを許さないがために、むしろいい加減なスケジュールが例外ではなく当然になっている。
不思議なのは、誰もがそれ(過去の問題)を知らないかのようにプロジェクトを計画することだ。
悪いのは仕事のやり方ではなくスケジュールである
上司から人前ではっきりと「このアイデアについてあえて欠点を挙げるとしたらどうだ」と聞かれたら、やればできるという思考の束縛を解かれる
すべての機能の優先順位を決めることは、プロジェクトに蔓延する二つの病癖を治すことにつながる。一つは、製品のすべての部分が等しく重要だと考えることである。
プロジェクトの邪魔をする組織の迷信と戦う必要がある。それは、プロジェクトにゆとりを持たせないことが真に勇敢なマネジメントのしるしとする考え方である。
果敢にリスクを取ろうとするには、効果という誘因がなくてはならない。どの程度のリスクを取ろうとするかは、どの程度の効果を得られるかによって決めるべきものだ
継続的なリスク発見プロセスを実行している。誰でも自由にリスク発見に参加できる。